角膜が薄くなり円錐状に突出する円錐角膜
円錐角膜とは、その名の通り黒目(角膜)の真ん中が変形し、円錐状に突出する病気です。思春期に発症する例が多いものの、はっきりとした原因が解明されておらず、10~20年をかけて徐々に進行するため、発見が遅れることがあります。多くは、両目で同時に起こり、進行します。一般に、30歳頃から進行が緩やかになる・停止すると言われていますが、そうでないケースも見られ、長年の経過観察が必要です。
主となる症状は乱視です。眼鏡やコンタクトレンズでの矯正は可能ですが、進行するに従って難しくなります。そうなると、クロスリンキングや角膜内リングによる治療、矯正視力がでないほどの混濁や変形がある合併症を起こしている場合には最終的に角膜移植などの治療が検討されます。
当院ではこのうち、特殊コンタクトレンズ(スクレラルレンズやユーソフト)を用いる治療とクロスリンキングによる円錐角膜治療を行っております。
特に、初期の円錐角膜トポラフィーで非対称性(目安は角膜の厚み400μm以上)に高い効果が期待できます。
円錐角膜治療(クロスリンキング)
ビタミンB2が配合された点眼薬を投与し、長波長紫外線を照射する治療です。角膜のコラーゲン線維の強度が高まり、進行(角膜の変形)を抑制することが可能です。
当院で使用しているPXL Sapphire 318という機器で5分間の短い紫外線照射が可能です。
欧米ではすでに実績をあげている治療ですが、今のところ国内では保険適用外の治療となります。また、あくまで進行を予防するための治療であり、角膜の形状がもとに戻ったり、視力が改善することはあまり期待できません。
円錐角膜治療(クロスリンキング)の費用
角膜を剥離しない方法(エピオン) | 片眼 80,000円(税込) 両眼 160,000円(税込) |
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※痛みもほぼなく視力低下もないので両眼同時に行うことができます。(薬品代、検査費用1ヶ月分を含む)
円錐角膜治療(クロスリンキング)の流れ
1点眼麻酔をかけます。
2角膜の上皮細胞を剥離しない方法でまず行います。
3ビタミンB2が配合された点眼薬(等張性0.1%リボフラビン)を30分間、2分おきに点眼します。
4紫外線照射装置にて、約5分間、紫外線を照射します。
5保護用のコンタクトレンズを装用し、抗生剤を点眼し、治療は終了です。
円錐角膜治療(クロスリンキング)の注意事項
- 治療当日は、入浴・洗髪・洗顔ができません
- 治療後1週間は、運動を控えてください。激しい運動、水中の運動は、1カ月間は控えてください
- 治療後翌日から仕事に復帰していただけますが、角膜上皮を剥離するエピオフでは一時的な視力低下、痛みなどにより支障をきたすことがあります
- 人ごみ、砂や塵が舞うような場所は、できるだけ避けてください
- 目はこすらないで下さい
円錐角膜治療(クロスリンキング)のリスク
- 目の痛み、しみる
- ゴロゴロとした違和感
- 涙が出る
- 視力低下
- 角膜上皮を剝がさない場合は、術前とほぼ同じです
治療後数日間は、上記のような症状が現れます。ただしいずれも一時的なものですのでご安心ください。
円錐角膜治療(クロスリンキング)Q&A
クロスリンキングを受ければ、視力が回復するのでしょうか?
円錐角膜に対するクロスリンキングは、あくまで進行を予防するための治療です。視力の回復は基本的に期待できません。
ただし、角膜の形が平らになることがあり、その場合は近視の多少の改善が期待できます。
適応外となるのは、どのようなケースですか?
進行が止まっている円錐角膜、角膜混濁、角膜が薄い(目安は400㎛未満)などは、適応外となります。また、妊娠中、授乳中の方も、クロスリンキングによる治療後の安全性が十分に確認されていないため、同様に適応外となります。
クロスリンキングの効果は、どれくらい続くのでしょうか?
比較的新しい治療であり、10年以上の予後のことはまだ詳しく分かっていませんが、半永久的なものだと言われています。
まれに数年で変形が出る方もおられ、この場合は角膜上皮を剥離する方法で追加治療します。
ユーソフト(円錐角膜対応ソフトコンタクトレンズ)とは
軽度から強度の乱視に加え、強度の遠視・近視にも対応可能。スクレラルレンズよりも更に装用感が良いです。 今まで乱視が強くてソフトコンタクトレンズをあきらめていた方にも、その方の度数に合ったレンズを作成できる幅広い乱視(円錐角膜、角膜移植後等の角膜不正乱視がある方)に対応できるソフトトーリックレンズです。
ユーソフトの特徴
- 幅広い度数でより多くの方に対応
■球面度数 +30.00D~-30.00D
■円柱度数 -0.25D~-6.00D
■軸度数 5°~180° - うるおう装用感高含率80%
- 左右がわかりやすいレンズマーク入り
- レンズの下方部に適度な厚みを持たせる事によりレンズの回転を抑え見え方が安定(プリズムバラストデザイン)
- 日本品質
ユーソフトの適応
- ハードコンタクトの違和感が強い方
- 角膜不整乱視(円錐角膜、屈折矯正術後、角膜移植後等)がある方。